$m$ を平方因子のない正整数、$R$ を虚2次体 $\mathbb Q(\sqrt{-m})$ の order, $E$ は $R$ を虚数乗法にもつ楕円曲線で、その$j$-invariant を $j(E)$ とする.今,$E$ の $F=\mathbb Q(j(E))$ 上 の方程式は $y^2=x^3+Ax+B$ の形とする. $f$ は $f\sqrt{-m}\in R$ となる最小の正整数と する.$4p=u^2+v^2f^2m,u,v>0,~(u+vf\sqrt{-m})/2\in R$ の形の素数 $p$ に対 して,$p$ 上の $F$ の素イデアル $\p$で, $E$ がgood, ordinary reduction を持つならば、そのフロベニウス準同型は $\varphi_\p=(\pm u \pm vf\sqrt{-m})/2$ となるので、そのトレースは、$u$ 又は $-u$ である。この符 号が判れば,$E$ から $\p$ での reduction で得られる楕円曲線 $E^\sim$ の 有理点群の位数とその群構造を簡単に決めることができる。今までには,$R$ の 類数が1の場合と類数2の場合で$R$ の判別式 $d(R)=-20$ の時に符号が決めら れている.ここでは,類数が2または3であり,$mf^2$ が3,4または5で割れる場 合、すなわち $ d(R)= -15,-20,-24,-32,-35,-36,-40,-48,-51,-60,-64,-75,-72,-99,-100,$\newline $-108,-112,-115,-123,-147,-235,-243,-267,~$ で $j(E)$ が実数であるとき に符号を決定する.
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