代数曲線Xのヤコビ多様体J(X)がある楕円曲線達の積とisogenousであるとき、
J(X)は完全分解するという.
一般に、代数曲線のヤコビ多様体がどのように分解するかをコントロールするのは難
しく思われる.
そこで対象をモジュラー曲線X_0(N)に絞り、そのヤコビ多様体J_0(N)が完全分解する
ときを考えた。その結果として
そのようなレベルNを完全に決定した.
証明の戦略はJ_0(N)の分解の様子を知るヘッケ環の元のトレース公式を精密に評価す
ることで
ヤコビ多様体が完全分解するようなレベルNを(モジュラー形式やヘッケ作用素など
が計算可能な)有限の範囲に絞ることである.
キーポイントは上述のヘッケ環の元の取り方であり、これについて詳しく述べる.
また、この問題を通して浮上した問題、この問題の高次元版(つまり自然数nを一つ
固定したとき、n次元以下のアーベル多様体の積に分解するレベルNの決定)、予想
などを紹介する.
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