日本応用数理学会2005年度年会
「数論アルゴリズムとその応用」研究部会(JANT)
オーガナイズドセッションプログラム

「代数体のイデアル類群の計算アルゴリズム」

東北大学情報科学研究科 後援

14:30 〜 15:25 田谷久雄(東北大)

「全単数群を用いたイデアル類群の汎用アルゴリズムについて」

講演内容:今年の JSIAM年会のオーガナイズドセッションのテーマは代数体のイデアル類群の計算アルゴリズムである。 この話題に関して最近青木美穂氏と福田隆氏がアーベル体のイデアル類群の計算について新しい方法を考案した。 本講演では、この青木-福田の方法の理解に先立ち、 これまでの方法で最も汎用性があると考えられるF. Diaz y Diaz, M. Oliver, H. Cohenらによる一般代数体のイデアル類群の計算アルゴリズムについて紹介する。 この方法は数論計算用ソフトとして有名な Pariなどでも採用されている方法であるが、 代数体の全単数群の計算も行えるという意味でそれなりに大掛かりなものになっている。

15:25 〜 16:20 青木美穂(東工大・学振)

「円単数とガウス和を用いたイデアル類群の新しい計算方法について」

講演内容: 一般代数体のイデアル類群を計算するPariなどのアルゴリズムは本公演では、アーベル体のイデアル類群のp-パート(p:素数)の構造に対し、 新しい計算アルゴリズムを与える。体をアーベル体に限定することで、 円単数やガウス和といった代数的元が使えるという利点がある。これらの元は Stickelbergerの定理、又はF.Thaine の定理により、 アーベル体の類群と関係づけられる。講演で紹介するアルゴリズムのポイントは、 これらの定理を用いてイデアル類群を円単数とガウス和の成す群に言い換え、 さらにそれらを有限体の中で計算することである。


16:35 〜 17:30 福田隆(日大)

「イデアル類群の計算アルゴリズムと実際の計算」

講演内容:代数体のイデアル類群の構造は単数群の構造と密接に関係している。 田谷久雄氏が解説した古典的汎用アルゴリズムでは類群と単数群を並行して計算する。その際代数体における四則演算が必要となる。一方青木美穂氏が解説した新しいアルゴリズムではアーベル体の類群をマイナスパートについては単数群を用いずに、プラスパートについては円単数のみを用いて計算する。係数が爆発する代数的数の計算を有理整数の合同計算に帰着する点に特徴がある。本講演では両者を実装する時の問題点とその回避方法を実演を交えながら紹介する。


内山成憲
NTT情報流通プラットフォーム研究所
uchiyama.shigenori@lab.ntt.co.jp

今までのJANT研究集会に関する情報は JANTホームページ

http://ntw.e-one.uec.ac.jp/jant/

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