講演要旨
13:30-13:50
田中 覚 (首都大学東京)
題目:ANTS VIII 参加報告
要旨:ANTS VIIIが2008年5月17日から22日にかけてカナダのBanffにて開催された.
今回, poster sessionでの発表という参加機会を得たため, 今回の開催の概要と当日行われた
Last minute research announcementsについて報告する.
13:50-14:20
高島 克幸 (三菱電機)
題目:超特異曲線上の効率的に計算可能な distortion 写像
要旨:代数曲線のヤコビ多様体上のある種の自己準同型写像は,
暗号分野で distortion 写像と呼ばれ,効率的に計算可能なdistortion 写像は,
ペアリング暗号にとって有用である.本講演では,超特異になる曲線
C/Fp : Y^2 = X^w + 1(p, w は奇素数)と,標数 2 有限体上のある
特定の種数 2 超特異曲線に対して,効率的計算可能な distortion 写像の集合を
決定できたことを報告する.また,その際の具体的計算によって,
暗号応用に有用と思われる Weil ペアリング値間の関係も得られたので,それも報告する.
14:20-14:40
小崎 俊二, 松尾 和人 (情報セキュリティ大学院大学)
題目:Skew-Frobenius写像を利用した超楕円曲線上の整数倍算について
要旨:超楕円曲線のJacobian上のskew-Frobenius写像は整数倍算の整数展開に
利用可能であり、これを用いることで超楕円曲線暗号系の高速化が期待される。
本発表では、曲線の定義体の拡大次数が小さい場合について、skew-Frobenius展開を
用いた整数倍算の群演算量を見積り、skew-Frobenius写像の超楕円曲線暗号への効果を検討する。
15:00-15:30
遠藤 隆, 大田 俊介, 亀山 達也 (日立製作所中央研究所)
題目:RSA暗号秘密指数の中央部分の未知ビットのLLLによる推定
要旨:RSAの公開モジュラスNの素因数である秘密素数p,qのうちの最上位側のビットが
1/2以上判明した場合,LLLアルゴリズムを用いて残り半分を推定する手法をCoppersmithが
1996年に提案している。同様に,秘密素数の最下位側のビットが1/2以上判明した場合も,
LLLアルゴリズムを用いて残り半分を推定する手法をBonehらが1998年に提案している。
本発表では,秘密素数の最上位側から1/2未満のビットと,最下位側の1/2未満のビットが判明し,
判明したビット数の合計が1/2以上となった場合にもLLLアルゴリズムを用いて秘密素数の未知部分を
推定可能であることを示す。
15:30-16:00
小椋 直樹, 内山 成憲 (首都大学東京)
題目:$\ell$IC 方式への Fouque 等の攻撃法について
要旨:$\ell$IC 方式は, 2007年に Ding 等が提案した, 多変数2次方程式の解を求める
問題の計算量的困難性に基づく高速な暗号/署名方式である。このような方式は,
スマートカードなどの計算資源の限られた環境での実装に適している。
最近, Fouque 等によってこの方式に対する効率的な攻撃法が提案された。
Fouque 等の攻撃法は, $\ell$ が奇数の場合を中心に扱っており偶数の場合では実装も行っていない。
本講演では, $\ell$ が偶奇いずれの場合にも適用可能な, 別の効率的な攻撃法を提案する。
さらに, 提案アルゴリズムを実装し, 得られた結果について報告する。
16:00-16:30
橋本 康史 (財団法人九州先端科学技術研究所)
題目:Birational permutation による署名方式の非可換化について
要旨:1993年にShamirによって提案され、Coppersmith-Stern-Vaudenayによって破られた、
birational permutation signature scheme とよばれる多変数二次方程式を用いた署名方式の、
非可換環上の演算を用いた拡張を行う。
16:50-17:20
金子 元 (京都大学理学研究科)
題目:小数部分の小さい等比数列を与えるアルゴリズム
要旨:等差数列の小数部分が一様分布するための必要十分条件は、その公差が無理数であることが
Weylによって示された。一方、等比数列の小数部分の分布についてはほとんど知られていない。
1より大きい公比が任意に与えられたとき、Tijdeman、Dubickasらは正の初項をうまくとることによって
小数部分の小さい等比数列を構成するアルゴリズムを与えた。今回の発表では、公比がある条件を満たす
代数的数の場合について彼らの結果を改良する。
17:20-17:50
立谷 洋平 (慶応義塾大学理工学部)
題目:Independence results for pattern sequences in different bases
要旨:$d\geq2$を整数とし, $w_d$を$0,1,\dots,d-1$の中の数字でつくられる長さ有限のblockとする. このとき, 自然数$n$の$d$進展開の中に現れる$w_d$の個数を$e_d(w_d;n)$で 定義し, 数列$\{e_d(w_d;n)\}_{n\geq0}$を$w_d$に対するパターン数列と呼ぶ. 本講演では基底$d$が異なる各数系において定義されるパターン数列の線形独立性,及びそれらの母関数の代数的独立性について解説する.
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