講演要旨
13:30 〜 14:00
村上 弘 (首都大学東京 数理情報科学専攻)
題目:実閉区間内の分母最小の有理数を求める連分数算法
要旨:与えられた正の実数の組α、βを両端とする閉区間I=[α,β]に対し、
Iに含まれる分母最小の有理数を求める。この解は実数の正則連分数展開
と類似の算法で高速に求められる。
(内容は2006年度日本数式処理学会大会(6月7日)にて発表済み。
概要は同学会誌にも掲載済。)
14:00 〜 14:30
金子 元 (京都大学 理学研究科)
題目:pattern sequence の平均の漸近的挙動
要旨:自然数$n$を$q$-進展開した時に現れるdigitの和を考える。$n$が変化する際に、
その和の平均がどのような漸近的挙動をするかについて、Delangeによって計算された。
他方、自然数$n$の$q$-進展開の中に特定のwordが現れる回数を$e(n)$とするとき、
数列$e(n)$はパターン数列と呼ばれる。今回の講演では、パターン数列および
より一般的な数列について平均の漸近的挙動を紹介する。
14:50 〜 15:20
谷口 哲也 (東京理科大学 理工学部)
題目:多倍長整数係数多項式の高速乗算による類数の計算
要旨:2次元FFTを用いた多倍長整数係数多項式の高速乗算アルゴリズムを適用
することにより, $100,000$以下の素数導手$p$をもつ虚アーベル体の相対類数
をすべて求めた. これはShokrollahiの結果の10倍の範囲まで計算したことになる.
我々のアルゴリズムの計算量はERHを仮定することなく$O(p^2 \log^2 (p) \log \log (p))$
で評価でき, 本手法は巡回終結式, 巡回行列式の高速計算に応用可能である.
偶奇性, 正則性など計算データの分析, 高速化の工夫や具体的な速度比較,
本手法の一般化についても述べる予定である.
15:20 〜 15:40
塙 知剛 (電気通信大学 電気通信学研究科)、國廣 昇 (東京大学)、太田 和夫 (電気通信大学)
題目:多項式環を用いた格子暗号の改良方式の提案
要旨:PJH 暗号は格子問題 CVP の困難性に基づく公開鍵暗号である.
2007年,PJH 暗号は公開情報により生成される,ある格子に対して
LLL アルゴリズムを用いると秘密鍵を求められることが
Han らによって実験的に示されている.
本講演では Han らの攻撃が成功した要因を示し,
Han らの方法では攻撃できない方式を提案する.
さらに Han らの攻撃を拡張しても,提案方式への攻撃は難しいことを示す.
16:00 〜 16:30
光成 滋生 (サイボウズ・ラボ株式会社)
題目:標数3の拡大体上のη_Tペアリングの実装
要旨:近年,ペアリングの高速な計算アルゴリズムがさかんに研究されている.
講演者は,体をF_3^97に固定しIntel社のCore2Duoプロセッサに対象を絞って
η_Tペアリングの実装を試み,2.6GHzのCPUにおいて0.1ミリ秒以下の性能を得た.
ここではその実装方法について紹介する.
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