講演者リスト

代数・符号理論

暗号・数式処理・アルゴリズム・計算論

数論



脇克志(山形大学)

GAPによる既約Brauer指標の計算

AC2005でHissにより計算機による有限群のモジュラー表現に関する分解定数の計算方法MOCが紹介された。 このアルゴリズム MOCの一部をGAPに実装し、通常指標の情報を元にして、 分解定数の計算をする試みと結果を紹介する。


山田裕理(一橋大学)

Asir によるアフィン頂点作用素代数の計算

アフィンリー代数から定義される頂点作用素代数には、様々な興味深い 部分代数が含まれている。これらの部分代数を具体的に調べるには、 作用素積展開を知ることが大切である。 講演では、アフィン頂点作用素代数の部分代数として現れるある種の $W$ 代数 について、計算機代数システム Risa/Asir による作用素積展開の計算を紹介する。


生田卓也(神戸学院大学), 宗政昭弘(東北大学)

$\text{GF}(2^{20})$ 上の新しい non-amorphous association sceheme

E. R. van Dam は $\text{GF}(2^{12})$ 上のクラス 45 の cyclotomic scheme の fusion から自明でないすべての関係が strongly regular graph である primitive non-amorphous association schemes の例を与えた。 我々は本講演で,$\text{GF}(2^{20})$ 上のクラス 75 の cyclotomic scheme の fusion から自明でないすべての関係が strongly regular graph である primitive non-amorphous association schemes の新しい例を与える。 更に,我々はこれら2つの例を含む association schemes の パラメータとしての無限系列の可能性を与える。


堀口直之(千葉大学)

ある strongly regular graph の maximum clique and coclique design と再構成について

主に散在型単純群に関連したいくつかの strongly regular graph の clique, coclique や maximum clique and coclique design の構造などについて調べ, それらの情報からその design と strongly regular graph の再構成を行った。


[特別講演] Fidel Nemenzo(Univ. Philippines)

Counting self-dual codes over finite rings

Let $R$ be a finite commutative ring. A code $C$ of length $n$ is an $R$-submodule of the collection of $n$-tuples over $R$. An important type of code is the self-dual code, composed of all $n$-tuples which are orthogonal to every element of the code. In this talk, I give a survey of work on the classification of self-dual codes over certain rings, including recent results on the rings of integers modulo $m$, based of joint work with K Nagata and H Wada.


小関道夫(山形大学)

長さ64の2nd order Reed-Muller 符号のcoset weight distribution の計算(脇 克志氏との共同研究)

標題の符号のcomplete coset weight distribution を計算 することが、可能になった。その計算時間を短縮するための いくつかの群論的手法と実行した計算の結果の正しさを 検査するための方法を報告する。


宗政昭弘(東北大学)

長さ28の極値的3元自己双対符号の分類(原田 昌晃氏および Boris Venkov 氏との共同研究)

Bacher と Venkov (2001) による階数28の極値的 ユニモジュラー格子の分類を用いて、長さ28の極値的 3元自己双対符号の分類をする。これはこのような格子 における3-フレームを分類することによって得られる。全部 で38個のこのような格子があることが知られていて、その うち4個には3-フレームが存在しない。残り34個の格子の 3-フレームの総数の和は13399474であり、それぞれの格子の 等長変換によって6931個の同値類に分かれる。得られた符号 の中には、Huffman (1992) によって構成された18個、 Harada (1998) によって構成された16個、および Harada (2001) によって構成された1個が含まれている。


藤田育嗣(東北学院大学)

ディオファンタスの $5$ つ組は正則な $4$ つ組を含む

相異なる $m$ 個の正整数の集合 $\{a_1,\dots,a_m\}$ は, 各 $1 \leq i<j \leq m$ に対して $a_i a_j+1$ が平方数であるという性質をもつとき, ディオファンタスの $m$ 組と呼ばれる. ディオファンタスの $4$ つ組 $\{a,b,c,d\}$ $(a<b<c<d)$ は, いつも正則である, 即ち, $d=d_+:=a+b+c+2abc+2rst$ $(r=\sqrt{ab+1},\,s=\sqrt{ac+1}\,t=\sqrt{bc+1})$ をみたすと予想されている. 本講演では, $\{a,b,c,d,e\}$ $(a<b<c<d<e)$ がディオファンタスの $5$ つ組ならば, $\{a,b,c,d\}$ は正則である, 即ち, $d=d_+$ をみたすことを報告する.



山口幸司, 仁木直人(東京理科大学)

統計への応用を考えた対称式の基底変換アルゴリズム

統計量分布を表す正確な式が分かっている統計量は希であり、 ほとんどの場合は漸近展開(Edgeworth展開)による近似に頼らざるを得ない。 高次のEdgeworth展開には高次の統計量モーメントが必要であり、 その汎用的な導出方法として対称式が成すベクトル空間の基底変換法があるが、 計算途中における中間膨張をいかに抑えるかが課題である。 そのために、項が生成される順序規則に即したソート方法の高速化, 最終結果に不要な高次項の早期削除,頻出するパターンへの特化,中間結果の再利用などによる対策で、 対称式基底変換アルゴリズムの改良を行った。


橋本竜太(詫間電波高専)

周期の長さが一定の循環連分数に付随する,基本単数の大きな実2次整環の判別式の例

4を法として1と合同な正整数 d を判別式とする実2次整環の 基本単数を (t+u*sqrt(d))/2 とする。 (1+sqrt(d))/2 の連分数の展開の長さが決められた値である d のうち u > d を満たすものの中に媒介変数表示できるものが見出されたことを報告する。


[特別講演] 駒野雄一(株式会社 東芝)

公開鍵暗号技術と証明可能安全性

公開鍵暗号技術の分野では,計算困難とされる問題を利用 して方式が設計され,数学的なモデルの上で安全性が議論される。 本報告では,公開鍵暗号技術とその安全性の概念を述べ,公開鍵暗号技 術に応用されている計算量的な問題を紹介する。その後,証明可能安全 性について述べ,代表的な方式や応用に即した付加機能をもつ方式を紹 介する。


星明考(早稲田大学)

生成的多項式の同型問題への考察 (三宅克哉氏との共同研究)

任意の基礎体kに対し,k上生成的多項式の同型問題に対処する一般的手法を, チルンハウス変換の定義体を考察する事によって与える.前半における 一般的考察の結果を基にして,3次の場合の計算結果を紹介し,3次対称群, 3次巡回群それぞれに対するk上生成的多項式の同型問題への解を具体的に与える. また,応用として幾つかの6次生成的多項式が具体的に得られる.


田中覚, 西本啓一郎, 松井鉄史, 内山成憲, 中村憲(首都大学東京)

数論システムNZMATH開発の現状と課題

Python による数論向け計算システム NZMATH は AC2003 での概要発表から今日 まで順調に開発が続き, 今年で5年目を迎える. AC2005から過去2年間の開発の進展 を振り返るとともに, 開発の中で見えてきた問題点や課題を整理し, この先2年間 の開発の中期的展望を述べる.


市来信吾, 小椋直樹, 小泉賢洋, 西本啓一郎, 田中覚, 松井鉄史, 内山成憲, 中村憲(首都大学東京)

すぐ使える数論システムNZMATH

首都大学東京で開発が続けられている数論システムNZMATHについて述べる。 NZMATHを「使う」という観点から、どのようにNZMATHを使うのか、NZMATHで何ができるのか、について明らかにしていく。 また、NZMATHのインストール方法、いくつかのコマンドの実行、他のソフトウエアとの連携等を、デモンストレーションを通じて示す。


[特別講演] 濱田龍義(福岡大学)

数学ソフトウェアの森 KNOPPIX/Math

KNOPPIX/Math は、CD/DVD を PC に入れるだけで だれでも、すぐに数学ソフトウェアを使うことが出来ます。 現在、100種類以上の数学ソフトウェアが DVD に収録されており、 研究、教育、プレゼンテーション等、様々な場面で活用されています。

一方で、数多くの数学ソフトウェアが収録されているため、 どのように利用したら良いのかわからないという声も聞きます。 本講演が、うっそうと茂る森のような数学ソフトウェアの世界を 歩き、楽しむための道標となれば幸いです。



森川良三(首都大学東京)

ワーリング タイプ の問題を探求するための、いくつかの概念と方法

フロベニウスの線形ディォファンタス問題や G(3) = 4 ? の問題などの いくつかの ワーリング タイプの問題 (W - 問題) を統一的に取り扱う為に (1) R-篩 (基本アイデアは ラマヌジャン) と (2) 現実元法 を利用 する。 ( 適当な (篩、 現実元) の ペアーを考えることは、色々の問題 で有効な手段となる。 二、三の例を説明する)  この方法で、いくつかの W - 問題に共通の現象があることが分る。 例えば、セル原理、ネット構造、 量的関係、 特に奇妙なのは因子現象。  一方各問題固有の困難を克服するために、各々に新しい概念、方法が 必要になる。 例えば、2次では 幹ースター 原理、 相対拡大理論、 3次では等号現象など。


小松尚夫(弘前大学), Carsten Elsner(FHDW Hannover)

三項関係式と整数列

$z_n=T(n)z_{n-1}+U(n)z_{n-2}$という形の三項関係式とそれに付随する2つの 整数列$(T(n))_{n\ge 0}$, $(U(n))_{n\ge 0}$について調べる. この2つの整 数列が究極的にある正整数$m$を法として循環するとき, ある固定した$r$と $i$について$A(n)z_{rn+i}+B(n)z_{r(n-1}+i}+C(n)z_{r(n-2)+i}=0$という形 の飛び飛びの三項関係式が成り立つ. 特にすべての$n\ge 0$について $U(n)=1$のとき, これはHurwitz型連分数のLeaping convergentsの関係式とな る.


金子昌信(九州大学), 野呂正行(神戸大学), 鶴巻健一(日本オラクル(株))

多重ゼータ値の生成する空間の次元予想について

本講演では, 多重ゼータ値 (MZV) に関するZagier 予想についての数値実験に より得られた結果について報告する. Zagier は, weight が一定の MZV の生成す る Q 線形空間の次元の予想を PARI による数値計算から与えた. それ以来, その予想に対する理論, 計算機実験からのアプローチが試みられてきた. 我々 は, Zagier 予想から派生するある予想を, weight が 20 まで Risa/Asir に より検証した. そこでは, 非可換多項式の実装と, 有限体上の線形代数の並列 計算が有効に用いられた.


[特別講演] Andrej Dujella(Univ. Zagreb, CROATIA)

Construction of high rank elliptic curves and related Diophantine problems

By Mordell's theorem, the group of an elliptic curve over the rationals is the product of a finite subgroup consisting of all torsion points and $r \ge 0$ copies of an infinite cyclic group. There are exactly 15 possible torsion groups, but little is known about which values of rank $r$ are possible. The conjecture is that rank can be arbitrary large, but it seems to be very hard to find examples with large rank. The current record is an example of elliptic curve over $\mathbb{Q}$ with rank $\geq 28$, found by Elkies in May 2006.

There is even a stronger conjecture that for any of 15 possible torsion groups $T$ we have $B(T)=\infty$, where $B(T)=\sup \{ {\rm rank}\,(E(\mathbb{Q})) \,:\, \mbox{torsion group of $E$ over $ \mathbb{Q}$ is $T$} \}$. It follows from results of Montgomery and Atkin \& Morain that $B(T)\geq 1$ for all admissible torsion groups $T$. We improved this result by showing that $B(T)\geq 3$ for all $T$. In this talk, we will describe some recent improvements on lower bounds for $B(T)$. The information about current records for all admissible torsion groups can be found on my web page {\tt http://web.math.hr/$\sim$duje/tors/tors.html}.

Construction of high-rank curves in families of elliptic curves appears naturally in several Diophantine problems. We will present results related to elliptic curves induced by Diophantine triples, i.e. curves of the form $y^2=(ax+1)(bx+1)(cx+1)$, where $a,b,c$ are non-zero rationals such that $ab+1$, $ac+1$ and $bc+1$ are perfect squares. We show that there are exactly four types of possible torsion groups, and construct curves with rank equal to $r$, for $r \le 9$. We will also consider arithmetic progressions consisting of integers which are solutions of a Pellian equation. In a recent joint paper with A.~Peth\H{o} and P.~Tadi\'{c}, we have constructed a seven-term arithmetic progression with the given property, and also several five-term arithmetic progressions which satisfy two different Pellian equations. These results are obtained by studying properties of a parametric family of elliptic curves.


松井鉄史(首都大学東京)

計算量と数の超越性

計算可能数全体が代数閉体となることは良く知られている。それに比べて、 1980年代に多項式時間計算可能数の全体も代数閉体を成すことが Sch\"onhage により示されたことは余り知られていないように思う。本講演では、この事実 を紹介するとともに、これを利用してある種の判定問題の解により定義される 数が超越数であることを示す。また、この方法の限界について議論する。


塩川宇賢, 立谷洋平(慶應義塾大学)

<q,r>数系におけるパターン数列の性質について

本講演では<q,r>数系とよばれる整数の表現、及び展開のアルゴリズムを 紹介する。またこのアルゴリズムより得られた情報を用いて、パターン数列によ り生成されるベキ級数の満たす関数等式や代数的独立性についての結果を述べる。


小松啓一(早稲田大学), 福田隆(日本大学)

ウェーバーの類数問題に対する計算的アプローチ

Weber は Q(2cos(2π/2^{n+2})) の類数 h_n が全ての n>0 に対して奇数で あることを示した。奇素数 p に対しては、Washington の定理により h_n の p-part は有界であるが、その explicit bound は知られていなかった。 最近堀江は、奇素数 p がある条件をみたせば全ての n>0 に対し h_n は p で 割れないこと、即ち h_n の p-part は自明であることを示し、一つの explicit bound を与えた。我々はベルヌーイ数による類数の上からの評価と円単数による 下からの評価を組み合わせて、別のタイプの bound を与え、その応用として、 10^5 以下の奇素数 p は全ての n>0 に対し h_n を割らないことを示す。


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$Date: 2007/11/16 00:46:58 $+ 9:00:00 (JST)