講演者リスト

11月7日(月)

[特別講演] 岡本龍明 (NTT情報流通プラットフォーム研究所)
安田貴徳 (九州先端科学技術研究所), 櫻井幸一 (九州先端科学技術研究所 / 九州大学), 高木剛 (九州大学)
内田幸寛 (京都大学)
原瀬晋 (東京大学)
布田裕一, 岡崎裕之, 師玉康成 (信州大学)
横山俊一 (九州大学)

11月8日(火)

山村健 (防衛大学校)
森川良三 (長崎大学・名誉教授)
梶谷美帆 (東北大学)
[特別講演] 原田昌晃 (山形大学 / ＪＳＴさきがけ)
山田裕理 (一橋大学)
入江佑樹 (千葉大学)
高橋萌子 (千葉大学)
脇克志 (山形大学)

11月9日(水)

長谷川武博 (工学院大学)
橋本竜太 (香川高等専門学校)
澤正憲 (名古屋大学)
[特別講演] 立谷洋平 (弘前大学)
知念宏司 (近畿大学), 田村知佳子 (大阪商業大学高等学校)

[特別講演] 岡本龍明 (NTT情報流通プラットフォーム研究所)

関数型暗号とその応用

最近、公開鍵暗号が自然に発展した概念として、関数型暗号の研究が活発に行われている。関数型暗号とは、暗号文と秘密鍵にそれぞれパラメータが関与し、そのパラメータ間にある論理関係が成立するかどうかが、ある秘密鍵を用いてある暗号文を復号できるための条件となるような暗号である。つまり、秘密鍵と暗号文の関係が（公開鍵暗号のような）単純に固定された関係ではなく、（高度な）論理式で規定されるような暗号である。たとえば、このようなパラメータとして、属性と（論理的）条件式を用いると、復号のための条件は属性が条件式を満足することとなる。本講演では、このような関数型暗号の種別や構成方法を解説するとともに、クラウドなどネットワークサービスへの応用についても紹介する。

安田貴徳 (九州先端科学技術研究所), 櫻井幸一 (九州先端科学技術研究所 / 九州大学), 高木剛 (九州大学)

Edwards曲線を用いた効率的なペアリング暗号の構成

Edwards曲線は楕円曲線の実現の一つであり、 Weierstrass型の場合に比べて加法演算が効率的であるため、楕円曲線暗号の効率化に利用できる。特に、ペアリング暗号への応用を考えた場合、与えられた位数を持つEdwards曲線を構成する必要がある。講演ではその構成アルゴリズムと暗号応用に適したEdwards曲線について説明する。

内田幸寛 (京都大学)

Hyperelliptic netによる超楕円曲線上のTate-Lichtenbaumペアリング

近年，Stangeはelliptic netを定義し，elliptic netによってTate ペアリングを計算するアルゴリズムを与えた．Elliptic netは有限階数自由Abel群から環への写像であり，ある漸化式を満たすものである．例えば，elliptic divisibility sequenceはelliptic netの特別な例である．本講演では，elliptic netの超楕円曲線への拡張としてhyperelliptic netを定義する．また，hyperelliptic netを用いて種数2の曲線上のTate-Lichtenbaumペアリングを計算するアルゴリズムについて述べる．

原瀬晋 (東京大学)

F2-線形擬似乱数発生法の最適化のための高速格子簡約アルゴリズム

擬似乱数を評価する規準の一つとして、高次元均等分布性が用いられる。メルセンヌツイスター法を含む二元体上の線形擬似乱数発生法に対しては、上位ビットの均等分布の次元を具体的に計算することが可能であり、擬似乱数の出力列から構成したある格子の簡約基底を求める問題(二元体係数冪級数体の数の幾何)に帰着される。本講演では、Math. Comp.に発表された松本眞氏、斎藤睦夫氏との共著論文を更に発展させ、新しいアルゴリズムを導入した均等分布の次元計算の高速化について述べる。Couture-L'Ecuyerの双対格子などの既存の方法と比較し、計算量が減少することを計算機実験と合わせて紹介する。

布田裕一, 岡崎裕之, 師玉康成 (信州大学)

Mizarによる素体上の楕円曲線の形式化

本発表では、我々が実施した、有限素体F_p(p>3)上の楕円曲線の Mizarによる形式化について解説する。 Mizarは、Mizar Society によって進められている、計算機を使用して数学を定式化するプロジェクトの総称である。 Mizar は、厳密な数学的形式記述が可能であり、なおかつ強力な推論機能を有している。

横山俊一 (九州大学)

至る所良い還元を持つ楕円曲線について：計算機的手法とその最近の進展

至る所良い還元を持つ楕円曲線については、長年の研究によって主に実二次体上及び虚二次体上の場合について深く研究されており、保型性予想との関連からも非常に興味深い。本講演ではこの分野における最近の進展状況を（講演者の結果を交えて）報告する。また二次体以外の場合についても言及し、解決に向けたアイデアを提唱したい。本研究の一部は島崎有氏（九大数理）との共同研究である。

山村健 (防衛大学校)

代数体の巡回拡大の不分岐Galois拡大の構造について

ある条件下で, 代数体の巡回拡大の有限単純群の直積を Galois 群とする不分岐 Galois 拡大の構造について述べる.それを特に, 小さい素数$l$および$n$について,有理数体の$Z_l$-拡大の$n$ th layer に適用した結果および関連した問題について述べる.

森川良三 (長崎大学・名誉教授)

ワーリングタイプの問題を探求する為の、いくつかの概念と方法 Ⅲ

本講演は前回、前々回　の講演の続編である。　今回はつぎのテーマで話す。a, bを２つの自然数として、V　を　{ ax^2 + by^2 | x, yは自然数を渉る}とする。　この Vの構造が　(-ab)　の　1/2乗　のつくる虚二次体の類群 Hの構造と密接な関係をもつという、全く意外な事実が判明した。これによって、V, H　双方について深い結果が得られる。例えば　Hについて　（１）H　が　奇数位数　h　の巡回群のとき、ある簡単なアルゴリズムで　h　の素因数分解した形を得られる。（２）　H　が巡回群 (21) と(3)の直積のとき　H を類群としてもつ虚二次体は存在しない。

梶谷美帆 (東北大学)

5 次交代群A_5 を固定群とする2-arc-transitive graph

G=PSL(2,29) には2つの共役でない5次交代群 A_5 が含まれており, それらによる非同値な置換表現のZG加群は同型になるという珍しい例である (Scott, 1992). PGL(2,29) の中では A_5 は共役を除いて一意的で, PGL(2,29)/A_5 は 5-regular な 2-arc-transitive graph を与える. この講演では, どのようなqに対して PSL(2,q)/A_5, PGL(2,q)/A_5 から 5-regular な 2-arc-transitive graph が得られるかについて, 計算結果を報告する. また, multiplicity-free な置換表現 PGL(2,29)/A_5 の指標表を求めた. 利用したソフトウェアは magma と gap である.

[特別講演] 原田昌晃 (山形大学 / ＪＳＴさきがけ)

Self-dual codes -an introduction-

Self-dual code (自己双対符号)は理論的にも実用的にも重要な code のクラスの一つである。本講演では、self-dual code について、講演者自身の結果を交えながら、self-dual code に対してどのような研究が行われてきたのかなどを非専門家向けに紹介する予定です。この研究集会の趣旨に出来るだけ沿うことが出来るように、代数的アプローチと計算機を用いたアプローチについて主に紹介したいと思います。

山田裕理 (一橋大学)

パラフェルミオン頂点作用素代数の $C_2$ 代数

レベルが正の整数の $A_1^{(1)}$ 型アフィン頂点作用素代数におけるハイゼンベルグ代数のコミュタントとして定義されるパラフェルミオン頂点作用素代数について、その $C_2$ 代数を考察する。特異ベクトルから得られる情報をもとにして、$C_2$ 代数を計算することにより、パラフェルミオン頂点作用素代数の $C_2$ 有限性を示す方法を紹介する。

入江佑樹 (千葉大学)

有向グラフの mutation が生成する群について

Mutation は有向グラフ上の位数2の置換である。G が木のとき、G の mutation class が有限となる必要十分条件は G がディンキン図形または拡大ディンキン図形であることが知られている。これらのグラフの内、頂点数が8以下のものについて、その mutation が生成する群を決定した。さらに、頂点数が3の場合に mutation で不変な量を発見し、これを用いて素体 Fp で重み付けした場合に例外系列を発見した。

高橋萌子 (千葉大学)

巡回シローp-部分群をもつ有限群のスコット加群

これまで、有限群のスコット加群を求めるためには、通常指標を用いてグリーン対応を計算しなければならなかった。群の位数が大きい場合には、GAPと呼ばれる計算システムが必要になることも多かった。今回、ブラウアーツリーと通常指標の非自明なp-元上での値のみからスコット加群を与える方法を得たので、紹介したい。スコット加群は、主ブロックのブラウアーツリーの自明な指標に対応する頂点から例外頂点までの道の長さと密接に関わっている。この長さの偶奇によって、巡回シローp-部分群をもつ有限群のスコット加群の構造を分類し、対応する通常指標を与えたい。

脇克志 (山形大学)

$J_4$の表現構成について

散在型単純群 $J_4$の1333次表現の計算機を用いた具体的な構成方法を考える。 Ivanovにより示されたamalgamによる$J_4$の構成方法にそって、GF(3)上の 1333次モジュラー表現の構成を試みる。

長谷川武博 (工学院大学)

関数体の塔に関する Elkies 予想の数値的証拠 II

有限体上の関数体の tower がある条件をみたすとき，その tower を recursive といい，さらに，degree one places の個数と種数の比の極限が最大値をとるとき，その recursive towerを optimal といいます．1997 年に Noam Elkies は「すべてのrecursive optimal towers はモジュラー塔であろう」と予想しました．本講演では，この未解決問題に対し，ある数値的証拠を与えます．AC2009 では，楕円モジュラー曲線の塔を紹介しましたが，今回は，志村曲線の塔を紹介します．これは類体塔になります．

橋本竜太 (香川高等専門学校)

基本単数の比較的大きな判別式の分類の試み

有理数体上の２次整環の判別式であって，その整環の基本単数が比較的大きなものを連分数展開の観点から探査してみると，それらが分類できるように思われてくる。探査と分類の試みについて，途中経過を報告する。

澤正憲 (名古屋大学)

整数の冪乗和に関する恒等式と求積公式

多変数関数の積分値を，空間内の有限個の点における関数値の重み付き和で近似する公式を求積公式という．代表的な例として，ニュートン・コーツ公式などが挙げられる．　本講演では，球面上の一様測度に関する積分に対して，次数９および１１の求積公式の代数的構成法を与える．また，そこから導出される公式を用いて，Waringの問題に関係する，整数の冪乗和に関する恒等式を幾つか与える．

[特別講演] 立谷洋平 (弘前大学)

パターン数列の諸性質について

$q$を固定された2以上の整数、$w$を$0,1,dots,q-1$の中の数字でつくられる長さ有限の数字列とする。このとき、各自然数の$q$進展開における$w$の出現回数により定義される数列を $w$に対するパターン数列と呼ぶ。本講演では、パターン数列の母関数らが関数体上代数的従属となるための必要十分条件を与え、パターン数列の間の相互関係について紹介する。

知念宏司 (近畿大学), 田村知佳子 (大阪商業大学高等学校)

平方剰余の条件を付加した a (mod p) の剰余位数の分布について

2 以上の自然数 $a$ を固定し, $p$ を奇素数 ($(a,p)=1$), $D_a(p)$ を $Z/pZ^\times$での $a$ の位数 (剰余位数) とする. $D_a(p)$ が素数 $q$ で割り切れる $p$ の自然密度 $\Delta_a(q,0)$ は求められている. われわれは, 別に整数 $b$ をとり,$D_a(p)$ が素数 $q$ で割り切れ, かつ $(b/p)=1$ となる素数 $p$ の自然密度を,$a,b$ への軽い制限のもとで求めた ($(b/p)$ は Legendre 記号). それは$\Delta_a(q,0)$ の半分になるのが自然だが, $a, b$ が影響し合ってそうならない場合もある. その状況を調べるのが目的である. また計算機実験の結果, 手法も述べる.

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$Date: 2013/11/15 04:47:12 $+ 9:00:00 (JST)