講演者リスト

12月17日(火)

12月18日(水)

12月19日(木)



小松尚夫(弘前大学)

Balancing with binomial coefficients

In this paper, we study a balancing problem of ordinary binomial coefficients. The diophantine equation $$ {0\choose k}+{1\choose k}+\cdots+{x-1\choose k}={x+1\choose \ell}+\cdots+{y-1\choose \ell} $$ in positive integers $x$ and $y\ge x+2$ will be investigated, where $k$ and $\ell$ are given positive integers. The main results state effective and non-effective finiteness theorems on the subject matter. (joint work with Laszlo Szalay)


O.Khadir(University of Hassan II Mohammedia-Casablanca), 小松尚夫(弘前大学)

On the modular equation 3^x ≡ b [p] when p is prime

Let p be a prime number. We put ε = 1 if p ≡ 1 [3] and ε = -1 if p ≡ 2 [3]. Consider the recurrent integer sequence (u_n)_{n∈N} defined by :
0 <u_0 < p is the initial term and :
u_{n+1} = u_n/3 if u_n ≡ 0 [3]
u_{n+1} = (p-εu_n)/3 if u_n ≡ 1 [3]
u_{n+1} = (p+εu_n)/3 if u_n ≡ 2 [3]
In this work, we show that this sequence is connected to the hard discrete logarithm problem. In particular, we prove that, under some favorable conditions, it is possible to solve the discrete logarithm problem modulo p in the two following situations :
1. Number 3 is a primitive root modulo p.
2. The integer p is a safe prime: it has de form p = 2q+1, where q is also prime.


森川良三(長崎大学・名誉教授)

ある整数の集合を二つの部分集合の直和に分解すること

s, Mを2つの自然数とする。A, Xを|A|=s,|X|=Mの整数の集合とする。 (A,X)がTペアであるとはaがAを渉り、xがXを渉るとき、{a+x}が法sMの完 全剰余系であるときをいう。本講演の目標は、Tぺアを全て決定すること である。つまり(1)Tぺアを、あるダイアグラムと対応させて、構成す る。ここで、Tぺアは2つの種類、標準的なSぺアとやや特異な構造をもつ HBぺアに分かれる。(2)すべてのTぺアは(1)で構成したものに限る。 これを証明するために、「取り出し法」という論法を導入する。(これは 難しい問題で、現在HBぺアのリストアップの議論にはまだギャップがある。)


[特別講演] 横田佳之(首都大学東京)

二重対数関数と結び目不変量

この講演では、結び目の双曲幾何学的な不変量と二重対数関数との関係や、 結び目のジョーンズ多項式と量子二重対数関数の関係について解説します。


竹森翔(京都大学)

Sageでのdegree 2のジーゲル保型形式の計算について

Sageというオープンソースの数式処理システムがあるが,講演者 は最近,degree 2,level 1のジーゲル保型形式の計算を行う Sageのプログラムを書いた.この講演では,degree 2のヘッケ固 有形式のフーリエ係数やヘッケ固有値などの計算を行うことによ り,そのSageのプログラムの紹介をする.


筒石奈央(津田塾大学)

至る所good reductionをもつ代数体上の楕円曲線の決定方法とその計算

Shafarevichによって、至る所good reductionをもつ代数体上の楕円 曲線は有限個であることが知られている。至る所good reductionをも つ楕円曲線の存在についての研究や計算は多くなされているが、与え られた代数体上そのような楕円曲線を全て決定することは容易ではな く、二次体に限っても決定されている体は多くない。そこで我々は、 至る所good reductionをもつ楕円曲線を決定するための新しい方法を 考え、計算を行った。この講演では、その方法と得られた計算結果を 紹介する。


[特別講演] 河原林健一(国立情報学研究所)

巨大グラフの解析とアルゴリズム

Web構造やFacebook、Twitterなど、我々の身近にある複雑ネットワークは 日々膨張を続け、現在では各々10^9に近いユーザーが利用する巨大構造 をなしている。この様な巨大なネットワークは、ユーザーに相当する「頂 点」と、各ユーザーを結ぶネットワークに該当する「辺」からなる「グラ フ」を構成している。本講演ではこのような巨大グラフを、1.数学的に解 析し、2.その解析により「高速」に動作するアルゴリズム開発、に関する いくつかの試みを紹介する。特に、グラフの「数学的」な知識と既知のアル ゴリズムを組み合わせることにより、既存よりはるかに性能が良いアルゴリ ズム開発が可能である例をいくつか紹介する。具体的には、1.構造的グラ フ理論における「グラフの木分解と木幅」2.スペクトルグラフ理論におけ る「エクスパンダーグラフとランダムグラフ」3.数値計算における「Powe r MethodとGMRES法」を組み合わせることにより、既存よりはるかに高速にPA GERANKを10^10辺レベルの巨大グラフで計算できることを紹介する。



籾原幸二(熊本大学)

Skew Hadamard difference setの非同値性の問題について

最近, FengとXiang (JCTA, 2012)は基本可換群上のskew Hadamdard difference set の新たな構成法を与えた. 今回, skew Hadamdard difference setの同値性 の新たな不変量(素数を法とする三重交差数)を導入し, Feng-Xiangのskew Hada mard difference setと古典的なPaley difference setとの非同値性について調 べた. 結果として, FengとXiangが得た構成法がPaley difference setと非同値 なものを無限個生成することを示す. また, 計算機をこの研究にどのように用い たかも解説する.


佐々木義卓(大阪体育大学),大野泰生(近畿大学)

多重Euler数の諸性質について

多重Euler数は金子による多重Bernoulli数と同様の手法によって導入される。 本講演では多重Euler数の符号決定や合同関係式、組合せ論的解釈などの様々な性質を 紹介する。また、Euler数の計算アルゴリズムや組合せ論的観点から導かれるEuler数の 評価など、多重Euler数の研究に応用される通常のEuler数の性質についても紹介する。


平野康之(鳴門教育大学), 隅山孝夫(愛知工業大学)

正整数上へのある作用の繰り返しの振る舞い

コラッツの問題は,「mを正の整数とし, a_1 = m, a_n+1 = a_n/2(a_nが偶数の場合),a_ n+1 = 3a_n + 1 (a_nが奇数の場合)とすると, いつかa_n = 1となるか」というものである 。コラッツの問題及びその一般化については, コンピュータを用いた計算結果が知られてい るが,循環, 収束についての情報が殆んど無い。今回は,3n + 1をいくつかのnの関数で置 き換えた場合について,循環や発散などの振る舞いについて論じる。


[特別講演] 野崎寛(愛知教育大学)

有向グラフの複素球面埋め込みに関するアルゴリズム

複素球面上の有限集合Xで,異なる2点間の内積の集合の濃度が丁度3であるとき,X を複素3-コードと呼ぶ.複素3-コードは,自然に有向グラフの構造を持っている. 次元を固定したとき,複素3-コードで元の個数が最大となるものを分類したい。有 向グラフが複素3-コードとして複素球面に埋め込まれるとき,それが最大複素3-コ ードとなるときの必要条件を示し,最大複素3-コードを与えるアルゴリズムを紹介 する.このアルゴリズムにより,C^1,C^2,C^3上での最大3-コードの分類が完了する.


平尾将剛(東京女子大学), 澤正憲(名古屋大学)

有限既約鏡映群による最適実験計画の分類について

実験計画では,実験対象の特徴を的確に捉えるために,有限個の観測点をどこに配置 し,また,それぞれにどれだけの比重を与えれば良いかが問題となる.本講演では, 有限既約鏡映群により関連付けられるコーナーベクトルを用いることにより,回転不 変な実験領域上における最適な実験計画の構成法,及びそれらの幾何的分類を与える.


林怡伶(名古屋大学), 三嶋美和子(岐阜大学), 佐藤潤也(名古屋大学), 神保雅一(名古屋大学)

可逆元の位数と等差衝突回避符号への応用

最適な等差衝突回避符号の符号語数を求める問題は,可逆元の位数計算問題と結びつ いていることが知られています。本講演では,2の位数に関する問題と重み3かつ奇数 符号長の等差衝突回避符号の関連について述べ、位数に関するいくつかの性質を示し ます。また、それらを用いて、等差衝突回避符号の最大符号語数の値が厳密に求めら れるいくつかのシリーズを与えます。


山田紘頌(東京理科大学), 宮本暢子(東京理科大学)

Baer subplaneによる直交配列の構成

直交配列の構成問題は、組合せ論、結合幾何等の分野における基本的な問題である。そ の中で特筆すべき結果として、Fuji-hara, Kamimura (1993)は、有限射影平面上のBaer subplaneの構造を用いて、水準数が素数ベキでない直交配列の構成法を与えた。本講 演ではこの構成法を改良し、行数、インデックスともに先行研究よりも小さい直交配列 の系列を実験的に与える。これらの直交配列は素数ベキの平方の位数を持つ任意の射影 平面に対して構成され、素数ベキでない水準数を持つことが特徴である。


澤正憲(名古屋大学)

Ellisonの誤り -- Waring問題

本講演では,Waring問題に対するHilbertの解(Math. Ann., 1909)において鍵となった, ある代数的恒等式(Hilbert恒等式)の存在命題に対して,組合せ論的な別証明を与える. Hilbertの命題にはこの他にも幾つかの別証明が知られている.本講演では,その中でも特 にシンプルな証明と考えられてきたEllisonの証明(Amer. Math. Monthly, 1971)の誤りを 指摘する.


須田庄(愛知教育大学), 野崎寛(愛知教育大学)

Weighing matrixに関連したアソシエーションスキームについて

アダマール行列、mutually unbiased bases(MUB)はアソシエーションスキームの理論におい ても重要な役割を果たすことが知られている。本講演では、アダマール行列、MUBの一般化 であるweighing matrix、mutually unbiased weighing matrices(MUWM)をアソシエーション スキームの観点から考察する。またMUB,MUWMの一般化である対象についても考察する。



横山俊一(九州大学)

Magmaによる多変数多項式の終結式計算の高速化について

計算機代数システム Magma には, 一変数多項式を高速に処理出来る仕組みが数多く実装されて いる. その一方で多変数多項式の実装は一部発展途上であり, 幾つかのビルトイン関数について は最適化・高速化が十分に行われていないと予想される.本講演ではその一例として多変数多項式 の終結式計算に注目し, 現在採用されている Magma のビルトイン関数と比較して圧倒的な高速 化に成功したので, これを紹介する. 加えて多変数多項式の終結式計算の応用例, 特にベンチマ ーク問題として一般係数多項式の判別式計算がどの程度高速化出来たかについて述べる.


原瀬晋(東京工業大学), 大堀龍一(東京大学)

拡張可能性を有する低WAFOM点集合の探索

一様分布論の応用として準モンテカルロ法による数値積分を考える。最近、松本-斎藤-Matoba により計算可能な準モンテカルロ点集合の評価指標WAFOMが提案された。松本氏等はdigital n etと呼ばれる点集合のクラスに対し、ある制約を付けるとWAFOMの計算量が更に減少することを 示し、ランダムサーチにより数値積分に有効な点集合の探索に成功した。しかし、この枠組み の場合、予め点数が固定される。本講演では、一般のdigital netに対してWAFOMを適用し、前 の点を維持したまま点を増やせる拡張可能性を有する点集合の探索を紹介する。また、テーブ ルを用いたWAFOM計算の高速化にも触れる。


[特別講演] 木村巌(富山大学)

モジュラー形式の計算

モジュラー形式とそれに伴うガロア表現は,20世紀末から大きな注目を集めるようになった. 理論的な発展につれて,それらを実際に効率よく計算する事が重要なテーマとなった.本講演では, モジュラー形式の効率的な計算に関する最近の発展を概説する.


谷口哲也(学習院大学)

「総当たりGCD」の高速計算について

本講演では「総当たりGCD」、すなわちすべての組み合わせに渡るGCDの高速計算について報告す る。対象データ($p^{n+1}$-巾分体の相対類数の因子達)の分布に偏りがあることに着目して「 総当たりGCD計算」の高速アルゴリズムを開発した。なお本研究は、学習院大学の中島匠一先生、 茨城大学の市村文男先生との共同研究の一環として行ったものである。


安田貴徳(九州先端科学技術研究所), 高木剛(九州大学), 櫻井幸一(九州大学/九州先端科学技術研究所 )

数体上の楕円曲線のペアリングに適した還元

多くのペアリング曲線構成法は安全性レベルに応じてパラメータを変えられるように設計されてい る。しかし、パラメータを変えると拡大体や楕円曲線の定義多項式も同時に変化するため、最善の ペアリングアルゴリズムを選択することが難しくなる。我々は拡大体や楕円曲線の定義多項式を安 全性パラメータの影響を受けることなく固定できる、実装に適したペアリング曲線を与えた。この 拡大体や楕円曲線は代数体や代数体上の楕円曲線の還元として与えられる。


宮脇朗(大阪大学), 綾野孝則(大阪大学), 鈴木譲(大阪大学)

Super-elliptic曲線を用いたペアリングに基づく暗号にむけて-原澤-鈴木によるヤコビ多様体の表現-

著者の一人(鈴木)は最近、Super-elliptic曲線の定義方程式の係数から標準コホモロジー基底の公 式を求めている。本論文では、Mumford表現を一般のCab曲線に拡張した原澤-鈴木(2000)表現をペー 関数を用いて表現し、加法公式で用いるペー関数の値を、それらで表現することによって、Pairing に基づく暗号の手順を示す。


早坂健一郎(九州大学), 青木和麻呂(NTTセキュアプラットフォーム研究所), 小林鉄太郎(NTT セキュアプラットフォーム研究所), 高木剛(九州大学)

拡大体GF(p^n)上の数体篩法における3次元Lattice Sieveの構成

ペアリング暗号は,拡大体GF(p^n)上の離散対数問題を安全性の基礎の一つとする.素体GF(p)上の離 散対数問題に対する現在漸近的に最速の解法として数体篩法 (JL03-NFS)が知られている.一方Jouxら は,拡大体GF(p^n)上へ拡張した数体篩法(JLSV06-NFS)を考案した.JL03-NFSでは,2次元の篩処理(2次 元lattice sieve)を用いることで十分であったが,JLSV06-NFSでは,3次元以上の篩処理が必要となる. 本稿では,JL03-NFSにおいて用いられる2次元lattice sieveを拡張した3次元 lattice sieveを提案する.


高橋龍介(岡山大学), 野上保之(岡山大学)

拡大体における巡回ベクトル乗算アルゴリズムとその部分体への効率的な適用

著者らは拡大体上の乗算アルゴリズムとして巡回ベクトル乗算アルゴリズムCVMAを提案している。CVMA では事前計算ステップで参照テーブルを作成し、本計算ステップで演算を行うという処理をしている。 この参照テーブルは拡大次数に依存し、部分体については考慮していなかった。そこで本研究では、参 照テーブルをその部分体でも利用できる手法を提案する。


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$Date: 2013/12/19 08:40:58 $+ 9:00:00 (JST)