講演者リスト

12月14日(月)

12月15日(火)

12月16日(水)



[特別講演] Claus Fieker

Classical Algorithmic Number Theory

Number Theory is the investigation of number fields, ie finite extensions for the field of rational numbers. Those studies were the result of investigations of irreducible polynomials, motivated by Galois theory and the quest for Fermat's last theorem.
Zassenhaus later defined the four fundamental problems to be studied:
- the maximal order or ring of integers (as the canonical ring attached to the number field)
- the unit group of the ring of integers
- the class group (the multiplicative (ideal) structure)
- the Galois group
While algorithmic solutions to all four problems are known, they are all under active research. In particular the problems related to the class group and unit group are related to applications in cryptography.
In the talk I will sketch problems and techniques used to solve the 1st three problems, before discussing the problem of class groups and their applications in more detail.


[特別講演] Andreas Enge

Computing with theta functions on abelian surfaces

Theta functions are defined on principally polarised complex abelian varieties; they parameterise their space of moduli and yield an embedding into projective space. Their algebraic counterparts can play the same role for varieties defined over finite fields; with respect to cryptographic applications, abelian surfaces are particularly interesting.
I will report on a few results and algorithms obtained in my research group: fast addition formulae for Kummer surfaces suitable for cryptography; the computation of Shimura class fields of quartic CM fields, yielding surfaces with a known L-polynomial; and the computation of modular polynomials parameterising isogenies, maps between abelian surfaces.


宮崎隆史(群馬大学)

原始ピタゴラス数から生ずる三項指数型不定方程式について

原始ピタゴラス数とは,$a^2+b^2=c^2$を満たすどの二つも互いに素な自然数の三つ組み$(a,b,c)$を意味する.本講演では,始めに,その様な三つ組みから生ずる特別な三項不定方程式について知られるJe\'smanowicz予想に関する既知の研究について紹介する.次に,Je\'smanowicz予想全体の1/4が``ほとんど"成立することを,主結果として述べる.最後に,主結果の曖昧さを除くために必要になる計算部分について紹介する.


[特別講演] 大野泰生(東北大学)

多重ベルヌーイ数および関連する話題

90年代後半に金子氏によって定義された多重ベルヌーイ数は古典的なベルヌーイ数の自然な拡張になっており、以後様々な数学的対象とのつながりが指摘され続けている。本講演では多重ベルヌーイ数の定義から始め、生成アルゴリズムを含むいくつかの性質を述べたのち、いくつかの数学的対象とのつながりを紹介する。関連して佐々木氏と講演者による多重オイラー数の研究の一部にも触れる予定である。


田坂浩二(名古屋大学)

周期たちの間の線形関係式の数値実験

この講演では, 多重ゼータ値やモジュラー形式のL関数の特殊値といった, 周期の間の線形関係式について議論する. これら周期の間にはたくさんの線形関係式が知られているが, どのくらいあるのかというのが基本的な問題となっている. この問題に取り組むにあたって, 計算機による数値実験は, 時に問題を見やすくすることもある. 本講演では, これら具体例とともに数値実験を行う基本的な道具などを紹介し, 多重ゼータ値及びモジュラー形式の周期の次元予想やその応用について述べたい.



佐竹翔平(名古屋大学), 澤正憲(神戸大学), 神保雅一(中部大学)

有向グラフの非対称性と自己同型について

本講演ではn頂点単純有向グラフに対して, 1963年のErdo”s, Re’nyiらの結果の類似としてAsymmetryの尺度を与え, nに関する上界を示したのち, それが漸近的に最善であり, ほとんどすべての有限有向グラフは非対称であることを示す.
それに対して可算無限ランダム有向グラフがRandom oriented graph (RO)とよばれる対称な可算無限有向グラフに確率1で同型になることを述べ, 有限の場合と無限の場合のギャップについて議論する.
さらにROの自己同型群の位数を示し, ROの自己同型群がpoint transitiveな自己同型を持つことを示す. またROに関して得られたいくつかの命題についても紹介する予定である.


宗政昭弘(東北大学), 原田昌晃(東北大学)

二元自己双対符号の被覆半径と影符号

Extremal binary doubly even self-dual code の coveringradius は Delsarte によって上界が与えられている。上界の達成は shadow が特別な性質をもつ singly even self-dual code の存在と同値であり、このとき shadow の weight enumeratorは不変式論的に一意的に定まる。本講演ではこの係数が負になる場合があることを計算により示し、上界の達成が不可能なことがあることを示す。この研究は原田昌晃氏との共同研究である。


平峰豊(熊本大学)

On planar difference sets and related divisible designs admitting SCT groups

位数n^2 のabelian planar difference set に対応する射影平面PはBaer subplane P_0 を持ち,これを除いた構造 P \ P_0 は (n^2 + n + 1, n^2 - n, n^2, 1)-DD (divisible design) D であり,D はその n^2 + n + 1 個の point class 全体に正則に作用する自己同型群 (SCT 群) をもつ.逆に,このパラメタの DD は位数 n^2 の射影平面に拡大できるので SCT 群をもつ (n^2 + n + 1, n^2 - n, n^2, 1)-DD の n に関して得られる制限は n^2 の planar difference set の n に関する新しい制限を与える.ここでは非可換群を含めて SCT 群をもつ DD について考察し,planar DS や(n^2 + n + 1, n^2 - n, n^2, 1) 相対差集合への応用を述べる.


[特別講演] 篠原雅史(滋賀大学)

平面上の距離集合の分類問題と正多角形

$d$ 次元ユークリッド空間 $\mathbb{R}^d$ 上の有限部分集合 $X$ が $k$-距離集合であるとは $X$ の中の相異なる二点間の距離が丁度 $k$ 種類出てくるときをいう. 次元 $d$ と距離の種類 $k$ に対して,大きな頂点数を持つ $k$-距離集合 $X\subset \mathbb{R}^d$ を特徴付けたいというのが,距離集合における主な研究目標である.本講演では,平面上(または平面上の凸集合)における距離集合の分類問題について紹介する.また,円周に限定した場合の $n$ 点 $k$-距離集合に対し,$k$ が $n$ に対し十分小さいものは,正 $2k$-角形, $(2k+1)$-角形の部分集合になることを示す.その中で, additive number theory における,Kneser の定理の応用についても紹介できればと思う.本研究は熊本大学の籾原氏との共同研究に基づくものである.


野崎寛(愛知教育大学)

$(0,\pm 1)$ベクトルの最大距離を避ける最大部分集合について

$L_{mkl}\subset \mathbb{R}^{m+k+l}$を,$-1$, $0$, $1$の成分の個数がそれぞれ,$m$, $k$, $l$となるベクトル全体から構成される集合であるとする.本講演では,任意の$k$に対して,$L_{1k2}$の最大距離が現れない$L_{1k2}$の最大な部分集合の分類を紹介する.この結果から,Bannai, Sato, and Shigezumi (2012)で未解決とされていた,ジョンソンスキーム $J(9,4)$の4距離集合としての埋め込みを含む,最大な4距離集合を分類することが出来る.


富安亮子(JSTさきがけ(専任))

結晶学の解析ソフトウェアConographの開発中に出会った代数学の諸問題について

結晶学の解析である粉末指数付けソフトウェアConographの開発中に必要となった、いくつかの代数的アルゴリズムに関わる研究テーマについて紹介させて頂く。中でも、格子基底簡約理論の応用と言える「誤差に安定なブラベー格子決定」および「空間群の消滅則の分布則」に関して、数学と結晶学両方の立場から紹介する。消滅則は、粉末指数付けにおいては「観測データから得られる情報の欠損」を与えるもので、数学的には、空間群Gの作用による商空間R^3 / Gにおけるラプラシアンの固有値、固有関数のある性質をまとめたものとみなせる。


松木伯元(富山化学工業株式会社)

二値変数多項式に対する和公式

二値変数多項式の解は特殊な剰余環の線型表現の固有ベクトルで与えられることを示す。 特にトレースは二値変数多項式の総和となり,その剰余類に中点を代入することで計算する ことができる。この公式は多重積分の効率的な計算法を与えると予期される。



小貫啓史(首都大学東京), 照屋唯紀(産業技術総合研究所), 金山直樹(筑波大学), 内山成憲(首都大学東京)

Elliptic net の並列化によるoptimal ate pairing の計算

楕円曲線上のpairingを計算する方法としてMillerの方法とelliptic netを用いた方法が知られている。このうち、後者は並列度が高く、並列化により計算時間を短縮できると期待できる。本講演では、マルチスレッドによりelliptic netを並列計算するアルゴリズムを提案する。そして、それを用いてBN曲線上のoptimal ate pairingを計算した場合の並列数毎の演算回数を評価し、並列計算の効果について考察する。


岡野恵司(都留文科大学)

ペアリング暗号に適した楕円曲線族が理想的条件をもつ可能性について

ペアリングに基づいた暗号には,その暗号に適した楕円曲線(またはその族)を用意する必要がある.特にすべてのパラメータが多項式で与えられる族は多くの曲線を生成し,完全族とよばれている.この完全族について,「暗号に必要な楕円曲線の部分群の位数と定義体の位数の比ρがほぼ1である」という条件は,最も理想的条件であるが,そのような完全族の例は埋め込み次数が12のもの1つのみしか見つかっていない.実際,多くの場合に,ρは1とはならないことを紹介する.


安田貴徳(九州先端科学技術研究所), Xavier Dahan(お茶の水女子大学), 櫻井幸一(九州大学)

環の既約分解を用いたNTRU型格子暗号の安全性評価

格子暗号のNTRUは多項式環を用いた暗号方式である。基本的にはこの多項式環を他の環に変えることで、NTRUの類似方式が構成できる。但し、復号失敗確率を考慮しないといけないため注意深く環を選択する必要がある。講演では様々な環に関するNTRUの類似方式を考え、それらの安全性を系統的に解析する。環の既約分解が安全性に大きく影響することを説明する。


横山俊一(九州大学)

数論データベース LMFDB の開発について

LMFDB(the database of L-functions, Modular forms, and related objects)は、数論における巨大データベースの一つ、およびその開発・運営プロジェクトである。この講演では、講演者の LMFDB への取り組みや、Sage Math プロジェクトとの連携について報告する。


[特別講演] 谷口哲也(金沢工業大学)

円分体の相対類数の計算について

本講演では円分体の相対類数の計算について,計算方法,計算された範囲,残された課題などについて述べる.円分体の類数を最大実部分体の類数(実類数)で整除したものを相対類数と呼び,その登場は19世紀に遡るが,素因子の構造や大きさの評価など未解決の問題は多く残されている.相対類数の計算手法は主に「行列式」「有限体」「多項式」を用いたものに分類される.本講演ではこれまでに行われてきた相対類数計算について,講演者自身の工夫や共同研究者による工夫も交えながら述べる予定である.(学習院大学の中島匠一氏,茨城大学の市村文男氏との共同研究の一環として行った計算を含む)


[特別講演] 篠原直行(情報通信研究機構)

小標数の有限体上の離散対数問題の解法

標数の小さい有限体上の離散対数問題を解く計算の困難性は, いくつかの利便性の高い暗号方式の安全性の基盤として利用されている. 従って, そのような離散対数問題を解く手法の研究は暗号の分野において重要な研究の一つとなっており, 近年, この手法において革新的な改良がいくつか提案されている. 本講演ではそれらの要点について説明する.


工藤桃成(九州大学)

計算機代数システムによる連接層係数コホモロジーの高速計算

体上で定義された射影スキーム上の連接層が定めるコホモロジー群の次元を計算することは重要である。なぜならば、コホモロジー群の次元を計算することで、幾つかの幾何学的不変量を求めることができるからである。J. -P. Serre によってその計算可能性が証明されて以降、幾つかの計算アルゴリズムが提案されている。本講演ではまず、そのようなアルゴリズムの一つとして、自由加群上のグレブナー基底計算に基づくものを紹介する。また、講演者が計算機代数システム Magma に実装した関数を用いてデモを行う。 Magma には、別のアルゴリズムに基づいた組み込み関数が存在するが、それとの比較も行い、より高速な計算のために考察したい。



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$Date: 2015/11/24 04:43:16 $+ 9:00:00 (JST)