14:10 〜 14:30 *西本 啓一郎,中村 憲(首都大学東京) タイトル:OTU2000の鍵生成および関連する問題について 講演内容:OTU2000の鍵生成についてこれまでは虚2次体上でしかできなかったが実2次体, 3次体上での鍵生成ができるようになった. そこで虚2次体上の鍵とそれ以外の体上の鍵を サイズ,生成時間の点で比較する.また,鍵生成で工夫した点についていくつか述べる.
14:30 〜 14:50 *田中 覚,中村 憲(首都大学東京) タイトル:円分多項式の因数分解を用いるペアリングに適した楕円曲線の構成について 講演内容:楕円曲線上定義されるペアリング計算に適した曲線の構成について,2007年応用 数理学会連合発表会では,埋め込み次数$k=8$,かつCM判別式$D=1$における曲線構成法と その結果を報告した. この時の曲線構成法における算法を$\varphi(k)=4$に適 用して得られた公式,またより多くの$D$における構成法を紹介する.
14:50 〜 15:10 *小椋 直樹,内山 成憲(首都大学東京) タイトル:非可換環上の双有理置換を用いた署名方式の安全性解析 講演内容:1984年にOngらにより2変数2次方程式の求解の困難性に基づく非常に高速な 署名方式が提案された. さらに,1994年にShamirが双有理置換を用いた方式を,1997年 に佐藤と荒木が四元数体上の方式を提案するなど,関連研究が続けられたが,いずれの 方式に対しても効率的な攻撃法が発見されている. この流れを受け,2008年に橋本と 櫻井は,双有理置換を用いた非可換環上の署名方式を提案した. 本講演では,橋本-櫻井 方式に対する攻撃法を提案する. ステップサイズとステップ数と呼ばれるパラメータの サイズが小さい場合,この方式は高速となるが,我々の攻撃法はこの条件下で定義環の サイズの多項式時間アルゴリズムとなる.
15:10 〜 15:30 *清野 善裕,吉田 仁,金田 康正(東京大学) タイトル:Riemann Zeta函数の零点計算の高速化 講演内容:Riemann Zeta函数の非自明な零点についての数値計算には素数分布などの数論 的性質について強い情報を与えるRiemann予想の実験的確認をはじめとする重要な対象が ある. これまでに,この分野で現在最も良い記録を持っているX.Gourdonが採用した Odlyzko-Schonhage algorithmを用いてRiemann予想の確認計算を含め統一的に行う 方法を基礎にして,計算量の多い箇所につきアルゴリズムの改良を行ったが,本発表では 更にそれに基いてRiemann予想の実験的確認の記録更新を目標とした大規模計算の為の 準備を行い,その実装上の問題に合わせて高速化を行う予定である.
15:40 〜 16:00 古元 宏樹,*小崎 俊二,松尾 和人(情報セキュリティ大学院大学) タイトル:超楕円曲線のHasse-Witt行列計算アルゴリズムの改良 講演内容:安全な超楕円曲線暗号の構成に必要とされる位数計算では,Hasse-Witt行列を利用す ることがある. Hasse-Witt行列の計算にはChudnovsky-Chudnovskyアルゴリズムが利用可能 であり,またBostan-Gaudry-Schostにより,このアルゴリズムの改良が示されている. これら のアルゴリズムではいずれも有限精度$p$-進整数計算が必要となる. 本発表では,$p$-進整数 の必要精度を下げることによるHasse-Witt行列計算の改良を示す.
16:00 〜 16:20 *名迫 健,村上 恭通(大阪電気通信大学) タイトル:A Knapsack Public-Key Cryptosystem with Chinese Remainder Theorem 講演内容:中国人の剰余定理を用いた新たなトラップドア提案し,そのトラップドアを利用 したGF(2)上の拡大変換を用いるナップザック暗号を提案する. 提案方式では,拡大変換に 巡回符号を用いることにより,従来よりも公開鍵のサイズを小さくすることを実現している. 提案方式は,中国人の剰余定理により公開鍵を得ているためShamirの攻撃やAdlemanの攻撃 に対して安全であり,拡大変換により高密度化を実現しているため低密度攻撃に対して高い耐性 を有する暗号方式である.
16:20 〜 16:40 *村上 恭通 (大阪電気通信大学),笠原 正雄(大阪学院大学) タイトル:三素数の積を法とする離散対数問題を用いたIDに基づく鍵共有方式 講演内容:合成数を法とする離散対数問題を解くことにより,秘密鍵を計算する型の ID 情報 に基づく鍵共有方式が提案されている. この型の鍵共有方式において,法の合成数として 三素数の積を使用することにより,計算量の点で有利に秘密鍵を計算できることが 報告されていたが,三素数の積を法に用いた具体的な構成法が提案されていなかった.本論文では, 合成数に三素数の積を用いるID情報に基づく鍵共有方式の構成法を具体的に提案する.
16:40 〜 17:00 知念 宏司(近畿大学) タイトル:MDS符号から作られる不変式のRiemann予想について 講演内容:符号のゼータ関数は1999年に Iwan Duursma によって導入された. それは 基本的に,重み多項式型のx, yの斉次多項式W(x,y)に対して定義され,W(x,y) が MacWilliams変換で不変なときは関数等式をもち,Rieman予想を考えることができる. 講演者は,W(x,y) とその双対の多項式を組み合わせることにより,自己双対でない 符号からMacWilliams変換で不変な斉次多項式を構成する方法を導入した. 特にMDS符号 の重み多項式から不変式を構成することにより,Riemann予想を満たす不変式が幅広く 存在することがわかった.